目覚め

レイズの世界で。
よくあるシチュをユアマーでやりたかっただけです。
せっかくだから、イチャイチャさせたい(笑)


 

温もりを感じる。

明かりが瞼を照らし、ユアンはうっすらと目を開けた。
まだはっきりしない視界に翠がうつる。

(そうか…)

少し上体を起こして傍らに眠る彼女を眺めた。

(マーテル…)

共に同じ寝台で寝たのは初めてではない。
しかし誓いを交わした翌朝に見る光景というのは不思議なものだ。
何も変わらないようで、何かが決定的に違うような。

少し手を伸ばして彼女の髪を掬った。
やわらかいそれを指先で転がし、口元にあてる。
ほのかに甘い香りをかいだ。

(私とマーテルは結婚したのだな)

かみしめるように目を閉じた。

「んっ…」

身じろぎをしてマーテルがまつ毛を揺らした。
彼女はユアンの姿をみつけてふんわりと微笑んだ。

「ユアン…」

「すまない、起こしたか」

うーん、と伸びをしてマーテルも身体をおこす。

「おはよう、ユアン。いい朝ね。」

「おはよう、マーテル。」

顔を近づけて彼女の頬にかかる髪を払ってやる。
すると今度はマーテルが顔を近づけて頬にちゅっと口付けをよせた。

「!!」

突然のことに驚き身を引くユアンに、マーテルはころころと笑う。

「朝ごはんの用意をしなきゃね。」
「…っ」

寝台から立ち上がろうとしたマーテルの腕を今度はユアンが掴んで引き戻す。
そのまま後ろから抱えるようにすっぽりと腕におさめると、ユアンは彼女の耳元で囁いた。

「もう少しゆっくりでもいいだろう?」

そのまま頬から唇にかけて啄むような口付けを落とす。
自分の姿をマーテルの瞳の中に認めたユアンは満足そうに笑い、二人は再び身体を寝台に預けた。

 


First Written : 2021/02/24