その音は、もう

ギュスターヴがフィリップを思う話。

 


 

 道をずんずんと歩き進めば、後を追う軽い足音が響く。

 ——にいさま。にいさま〜

 耳に残る幼き声。

「ギュスさま〜……どうしたの?」
 急に立ち止まったギュスターヴに、息を切らしたフリンが首を傾げる。
「……なんでもない。行くぞ、フリン」
 振り返らずにギュスターヴは歩き続けた。

 


First Written : 2022/04/16