友人の推しカプ、エフセド話。(付き合ってる前提でキス表現あり)
関係を公にしたくはない、と言ったのはセドリックの方だったはずだ。俺は正直、どちらでも構わなかった。色眼鏡で見る奴もいるかもしれないが、そんな輩は放っておけばいい。
でもセドリックがそう望むなら、秘密の関係も悪くない。そう思っていたというのに。
——わかってやっているのか?
目線があった時の微笑みに。日常の中でふと触れた時の指先の熱さに。見上げてくる瞳の潤みに。
ひどく煽られているように感じるのは気のせいか?
いや、意識しすぎだ。自分の見え方が変わったからそう感じるのだと、その都度跳ねる鼓動を律してきたというのに。
「……口付けを……して、くれないんですか?」
思いがけず二人きりになった瞬間に、拗ねたようにそう言われるとは。
そう言うならば、と次に訪れた機会に、今ならと唇を掠めると——
「っ!! 何を考えてるんですかっ?!」
と怒られるものだから、混乱する。
「言ってくれないとわからない」
「言わなくてもわかってください……!」
そもそもこういうことに慣れてるわけではないんだ。こちらの思いを知ってか知らずかの返事に、じゃあどうすればいいのだと頭を抱える。口から漏れ出た呻きが不機嫌に聞こえたのかもしれない。
「……わかりました。それでは……」
セドリックが一つ提案をしてきた。耳を赤く染めながら。
「……エフレン」
紡がれたその言葉が合図。その艶やかで魅惑的な唇に自分のものを重ねた。
First Written : 2022/03/18