明日もどうか晴れで
「ケルヴィン大丈夫?」
少しでも日陰になるように、パラソルの下でケルヴィンが座り込んでいた。
日差しを浴びすぎたのかもしれない。ボク達と違って少ししか海の中に入ってなかったし、ずっと顔も赤かった気がする。
もう少し胸元をゆるめたらいいのにとは思うけど、ケルヴィンがどうしても譲れないものがあるのならあまり言わない方がいいのかもしれない。貴族の矜恃っていうのはボクにはいまひとつよくわからないんだけど。
ギュス様が、だらしないな、とケルヴィンをからかう。笑ってるけど、目がちょっと心配そうだ。ギュス様は本当は優しいのに、すぐ隠しちゃうからなかなか気づいてもらえなくてもったいないなって思う。
それでもここに来て、ギュス様が楽しそうでよかった。あまり行きたくなさそうだったから無理してたら嫌だったけど、ちゃんと息抜きにはなってるみたい。遊んでる時はとても嬉しそうだったから、ボクも嬉しくなる。
ぽんぽんと弾みながら、誰かが飛ばしたビーチボールが目の前を転がっていく。ギュス様がそれを追いかけて拾い上げた。三人組の女の人が駆け寄ってきてお礼を言っている。
彼女達と笑顔で会話した後、ギュス様は戻ってくるのかと思えば、なんだか険しい顔をしてる。そのままボク達とは反対方向へ歩き出した。
あ、レスリーがいたのか。男の人に話しかけられている。今日はいろんな人がレスリーを見ていたから、一人だと思って声をかけられたのかな。いつも一緒にいるボク達でもちょっと見とれちゃうぐらいだから。
あ、ジロジロ見るなってギュス様に怒られたんだった。
もうすぐギュス様が楽しみにしていた熱闘コロシアムが始まるし、ギュス様の機嫌もなおるといいな。
First Written : 2022/07/01