邂逅 - 2/3

  * * *
 
「レスリー、来たのか」
 彼女がこの世界に来たことは人づてに聞いていたから、その姿に動揺はしなかった。見た目は俺がよく知っているレスリーと変わらない。歳の差があってもせいぜい誤差の範囲だろう。細かいところで記憶の有り無しはあるだろうが、それよりも——
「レスリーも『扉』から解放されたんだよな?」
「そうだと聞いているけど」
 この世界に突如として現れたいくつもの『扉』。その奥にある『バース』から戦士はこの世界に顕現する。
 戦士の解放に同行したことはないから詳しくは知らないが、それは戦士自身の記憶を辿る旅路でもあるという。
「一体誰が——いや、やっぱりいい」
 特定をしてしまっては駄目だ。その人物に悪気が無いのはわかっていても、見る目が変わってしまう。

「——また会えて嬉しいよ」
 彼女が元の世界と変わらず、傍にいる。それだけで良しとしよう。