ギュスターヴ12世とギュスターヴ13世の短いお話。
まだうまく開かぬ瞼から青い瞳がのぞく。その両の手が何かを掴もうとするようにもぞもぞと動く。その小さな手のひらに己の指を触れさせると思いのほか強い力で握りこまれて思わず笑みがこぼれた。
「父がわかるか、ギュスターヴ」
もちろん返事はなく、その唇はもにょもにょと擦り合わされるだけだ。
「ギュスターヴ」
改めてその名前を呼ぶ。その名を発する度に心にしみこんでくるようだった。
メルシュマン統一の夢はそう遠くない未来に叶うだろう。そしてフィニー王国はいずれこの小さな手に受け渡すことになる。
「……ギュスターヴ」
私は今サンダイル一幸せな男に違いない。
First Written : 2021/09/06